六月八日(水)曇のち雨
四時、五時、六時、昨日同様、「起きては寝る」の練習。熟練の技である。相変わらずの曇り空で朝陽は見られなかったが、八時に起きて、少し登ったところで写真を。まあ真っ白だ。九時出発、山を下りて街へ。スペースワールドには例の観覧車だのジェットコースターのコースだの、スペースシャトルだのが見える。朝食をとって、写真の整理をし、コーヒー屋で四時間。一六時出発、さらば九州。関門トンネルを七〇カウントで通り抜け山口県へ。
学生の頃、同学年の生徒の一人に「秋吉君」がいた。名前以外はほとんど知らないが、妙に名前が記憶に残っている。ということで山口県美祢市の秋吉台に到着。一八時。林の途切れたところから、広大な草原が見えた。なんだここは!車を止め、展望台に掛け上がる。数km先まで何もない。ただ草原に混じって岩や木がいくつかあるだけだった。ただし異様なほど広い。適当に写真を撮って一旦支度をしに戻る。栄養補給をし、歩きやすいものに履き替えて傘とカメラを持って散策。
全く広大である。そしてまた誰もいない。何種類もの鳥の声がよく響いていた。ただただ広く、果てしなく続いている草原の丘、遠くに地続きで山、どこまでも同じ色をしているのだった。所々に岩石がある。カルストの石灰岩だが、まるで墓石か、過去の文明の遺跡の様に点々とあった。雲の向こうで陽が沈んだか、だんだんと薄暗くなっていく。斜面も平地も、道が見渡せるものだからつい歩いて進んで行くが、暗くなったら大事だ。明かりなど一つもない。小高い丘と山一つを窮めて、回り道で車に戻る。来るときには見えなかった深い谷があった。一面の草原で、谷の深さに気づかなかったのだ。足下にクイズの書かれた看板。「秋吉台はサッカー場何面分でしょう。一、一八面 二、一八〇面 三、一八〇〇面」。ようやく帰り着くと二〇時。看板には国定公園選定の主旨等が書かれている。化石の出土や地層の珍しさ等がその理由のようだ。そして「およそ一七km×七km」もの広さを有するものとあって、ぴんとこない。サッカー場だと何面分ぐらいなのだろうか。一七〇〇面分か一八〇〇面分か一九〇〇面分くらいだろうか。こんな土地が、まだこの国に在ったのかと驚くばかりだった。
二一時眠る。八時に起きておいて、眠いはずもないのだが。夜中雨が強く降った。読書も記録もメールの返事も手に付かない。