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日本一周 [ 6日目 ]

by nwain 旅, 旅日記, 旅日記日本一周, 日本一周on Posted on 2016年4月7日2023年6月2日

  四月七日(木)雨

 六時。広い駐車場には誰の姿もない。朝食の準備をする。窓を開けて湯を沸かす。スープや果物など。相変わらず美味しい。

 雨が少し入ってくる。次第に強く降り出した。ひたち海浜公園は諦めて進もう。福島県へ。

 海岸沿いについてみると、やはり原発のことが気に掛かるのだった。一年前に浜通りの国道六号線が通行止めを解除されたようだが、二輪車・歩行者は立ち入りできず、自動車も窓を締めて外気吸気を控えての走行を求められるとのことだ。それでも走り抜けるまでに通常時の100~1000倍近い量の被曝をするらしい。

 看板に、初めて訪れるにも関わらず聞き慣れた「南相馬」、「双葉」の文字が出てくる。少々心配になる。

 十二時、「アクアマリンふくしま」の駐車場で昼食。休憩後、十四時半に出発。国道六号線は、併走する車も、過ぎ去っていく車も、何事もないかのように走っている。「○km先、二輪車・歩行者の立ち入り不可」という電光掲示板の表示、幾つ目だろうか、だんだんと残りの距離が少なくなっていく。途中、原子力関連の施設や研究所を過ぎる。手元の荷物からマスクを取り出してつけた。

 そのまま数十分走り続ける。計らずも速度が増していく。道の駅は警察の臨時の施設として使われ、一般の利用は止められているようだった。商店の立ち並ぶ通りにも、人影はなく、敷地内の至る所に雑草。「富岡町、全力で復興拠点建設中!」などといった看板が空しい。

 そうしていよいよ「帰宅困難区域(高線量区域を含む)通行規制中」などと書かれた看板が現れた。

 直進以外の道はゲートで封鎖され、交通規制の為に、人が立っている。レインコート、ヘルメット、マスク。大丈夫なのか?人家への車の乗り入れも出来ないように、通りに面した住宅の門にはすべてゲートが取り付けられていた。信号はどれも黄色の点滅。色を失ったように、灰色をした街だった。放射線量が電光掲示板に表示されている。「2.774マイクロシーベルト毎時」

 誰も歩いていない。対向車も少なくなった。警察車両が練り歩くようにのろのろと走っている。警官は誰もみなマスクをしていた。営業していないガソリンスタンドやドラッグストア、コンビニ、その他。窓を破られたままのものや、屋根が崩れているもの、掃除されていないていどのものが立ち並び、打ち捨てられた自転車やバイクが見られる。鳶が一羽、ゆったりと飛んでいた。そして、こんなところでも桜は暦通りに咲いていた。見る人のいない花も、これほど見事に咲くのか。

 福島第一原子力発電所への案内があった。この交差点を東に進んだところのようだ。「あの」海辺までは五分も掛からない距離だろう。送電線が一直線にそちらへ向かっている。景色の開けた山里の向こうを見渡せば、その末端の支柱の一基が分かるほど近い。速度を増して走り抜ける。放射線量「3.216マイクロシーベルト毎時」の表示。米軍が兵を避難させる基準値の約5倍。

 営業はしていないが、まだ使用されているガソリンスタンドがあった。「給油は福島第一原発への通勤バスのみ」と看板にあった。「通勤せねばならない人がいるのか」と、急に臨場感が迫ってくる。南相馬市に入る。相変わらず交差点の左右への道は規制されていて、人が立っている。住宅入り口のゲートも、道に面したすべての家につけられている。広い畑には鉄板の柵が巡らされて、そこには黒い袋に詰め込まれた「何か」が大量に並べられていた。まるでピラミッドでも建設しようというのだろうか、広大な敷地を埋め尽くすような数だった。街の外れにもまた線量の表示があった。「1.278マイクロシーベルト毎時」。

 相馬市に入ると何事もなかったかのように、普通の街の景色が戻ってきた。取って付けたような尖塔形が目立つ結婚式場も営業中、式があるのだろうか。ガソリンスタンドの店員は談笑し、コンビニも繁盛、対向車も併走の車も増した。

 十七時、道の駅で休憩をとった。携帯で調べてみると、ここらの線量は他県の各地域と変わらないようだ。後ろのドアを開ける。何となくドアハンドルの手応えが軽いように感じた。荷物を探っていると、濡れたところがある。まさか雨水が吹き込んでしまったか。結露したにしては水の量が多い、水筒も栓をしてある。ペーパータオル等でふき取って破棄したがそれ以上何も出来ない。汚染された雨水だとしても。

 何はともあれ夕食。果物、野菜、穀物、お湯も沸かしてスープを。温かいのはいい。

 今日は全く撮らなかった。携帯電話で撮った程度だ。走り通しだったので、200km以上進んでいた。十九時、温泉を探し、そこに向かった。「天宝の湯」。綺麗でいいところだ。身を清めて露天風呂。テレビがあるのはいただけないが、お湯がなめらかで温かい。浅いところでは身を投げ出しても顔が沈まず、全てを投げ出して漂った。ノーガード戦法。音もない夜空。こんな海なら漂流してもいい、などと妙なことを考える。上がった後、大量に置かれている本を三冊ほど流し見て車に戻った。

 二十二時。原釜尾浜海水浴場で泊まる。海岸は工事中で、新しく堤防などが造られるようだ。「相馬市伝承鎮魂祈念館」の横に車を止めて眠った。

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