五月二五日(水)雨後晴
六時頃にゆるゆると起き出す。外は明るいが曇っていて、海も空も白かった。外に出るとわずかに雨が降っていたが、カメラを持って周辺を、雨露に濡れた雑草に気をつけながらうろつく。黄緑の草原の向こうに白い海、雲。湿った空気。空腹ではなかったが、流れで朝食。食べれば美味しいが、三度の食事に追われるよりは、どうしても食べたいと思うくらいまで後回しにして良いと思う。天気のせいか、心のもちようのせいか、姿勢に力が入らない。だらだらと旅の記録を二時間。九時に切り上げて車を走らせた。
角島大橋の前後で写真を撮る。まだ曇空だ。それでも景観は良く、海の色が映えた。ちらりと青空も見えだした。付近の丘を登り下りしているとパトロールの警官に声を掛けられる。「全国行脚の旅でもしよんの?」そのとおりだ。「この辺りが有名になって迷惑駐車で通報があるから気をつけて、そっちに行くと景色がよい、九州自動車道はもう通れるころだ、交通安全に気をつけて」とのこと。一一時半、出発。一二時半、関門トンネルに入る。下関から門司へ。いよいよ九州入りだ。地震の影響と、帰郷の感慨とで複雑な思いだったが、海底トンネルが一〇〇円で通れるとあって、そのお得感に打ち消された。下りのトンネルを進む。下りきったところの壁面に「海底部」とタイルで書かれていた。また入り口から出口まで、七〇のカウントの上がっていく数字も等間隔で書かれていたが、一mごとに書かれているのでも、一〇mごとでも無さそうだった。もちろん水深でも無さそうだ。何を示していたのだろうか。
一二時半、九州に突入。一人拍手。北九州市で昼食を摂る。目の前に遊園地があり、遠くのジェットコースターから女性の悲鳴が直接届く。そしてけたたましい走行音。巨大な観覧車からは見下ろされている。そんななかでの昼食であった。一四時半本屋へ。その後コーヒー屋で記録をする。六時間があっという間に過ぎた。二時間くらいの感覚だった。筆の進みも二時間分だ。二一時、食料の買い出しをし、移動。山の上の公園は工事のため封鎖、街中も朝を待つには適さず、ふらりと立ち寄った皿倉山ケーブルカー駅の駐車場が空いていたので、街明かりを見下ろしながら朝を待った。二五時、封鎖される直前だったようだ。