大杉岳 – 会津駒ヶ岳 – 中門岳

Mt.Osugi – Mt.Aizukoma – Mt.Chumon

福島県 檜枝岐村 Hinoemata, Fukushima

6:50 尾瀬 出発
7:40 沼山峠バス
8:00 ~ 8:10 御池
9:05 大杉岳山頂 (1922m)
10:15 ~ 11:00 発電避難小屋
12:15 ~ 13:00 大津岐峠 (1945m)
14:40 駒の小屋
15:00 会津駒ヶ岳山頂 (2133m)
15:45 ~ 16:45 中門岳(2060m)
17:40 駒の小屋 到着

5:30 ~ 7:30 中門岳
9:00 駒の小屋 出発
11:20 滝沢登山口
12:00 檜枝岐村・六地蔵

14:35 沼山峠
15:20 尾瀬 到着

累計32km 17時間

6:50 台風の近づく盂蘭盆会の日、雨が小止みになるのを20分ほど待ってから尾瀬を出発。

装備はノースフェイスゴアテックスウェア、ヘリノックストレッキングポール2本、アシックスゴアテックスランニングシューズ、羊毛ソックス厚手、カメラ、18Lバックパック。プラティパスのウォーターバッグに水、タンブラーボトルに湯、携行食、地図、携行マット、折畳み傘、ミントオイルスプレー、歯ブラシやタオル、着替え、その他手回り品。

「体重xkgの人がy時間登山する際に必要な水分の目安は(5xy-20x)ml、例:70kgの人が8時間なら1400ml」という指標がある。目指す頂上付近の宿では浄水は得られないのでやや多めに。

登山靴は昨日の燧ヶ岳下山中に故障、テーピングを巻いて応急した。もともと縦走の予定ではなかったので、特段の支障はなく寿命を迎えられた。かつて登った山々を思い出す。

代用したランニングシューズは軽量で、駆け足での山行に大いに適していた。靴底の柔らかさのため、岩場で疲労を増すと言われることも。足首周りの丈の短さは小石や植物の種子などを紛れ込ませやすいかもしれないが、重い靴を振り歩くよりは好みである。


7:40 沼山峠に着くとすぐにバスが出発。道中、ヤマドリの親子を見かけ運転手の方が教えてくださった。
8:00 ~ 8:10 御池で下車、登山道を探して広い駐車場の奥へと進んだがこちらは尾瀬見晴方面。北方の山へは車道をたどって山手へ20分ほどゆくと道路脇に土肌の急な山道が現れる。8:30 大杉林道登山口。緑豊か。


9:05 大杉岳山頂 (1922m)、眺望は無し。尾根道に出ると広々とした景色が広がった。


10:15 ~ 11:00 発電避難小屋。多くの地図には名称の記載がない。

勢い良く風が通り、見下ろす裾野に広がる森、見渡す山々と足早に動く雲の景色を前にしばらくの休憩。携えたタンブラーの湯にインスタントコーヒーを入れて、茶請けとともに。地図を照らし合わせると、先日登った黒岩山などが見渡せる。

その先の、風吹く尾根道も見事な景色。


12:15 ~ 13:00 大津岐峠 (1945m)。たどった尾根道を遥かに見渡しながら昼食休憩。雲で見え隠れする燧ヶ岳山頂。

その先はまさに天空の庭。強い風が斜面や草原を撫でては過ぎる。


14:40 燧ヶ岳やその麓から辿ってきた稜線を振り返りながら駒の小屋に到着、そのまま休まず最高峰を目指す。


15:00 会津駒ヶ岳山頂 (2133m)。たどる木段、繰り返し振り返って景色を味わう。中門岳へと向かう尾根道に差し掛かると再びの絶景。


15:45 ~ 16:45 中門岳(2060m) 池塘。窪みを跳ねて飛び越した拍子に、背に提げていたカメラのレンズキャップを落としたらしい。すぐに気がついたのだが、強い風と丈のある下草、その広さのためいくら探しても見当たらず。一旦諦めて戻る。

17:40 駒の小屋到着。ひと気が無いが荷を下ろして記帳する。

奥を覗くと主人がおられたので声をかけ、部屋の案内を受ける。人気の宿でひと月先まで予約で埋まっているそうだが、台風接近のためほとんどがキャンセル、この日は男女各部屋1名ずつ、個室状態であった。着替えて顔を拭う。

ガスコンロと鍋を借り調理場、雨水を貯水したタンクの「天水」をもらって湯沸かし。パウチの食品やビニルに入れた塩結びを湯煎して温める。煮沸すれば飲んでも害は無いだろう。

壁には百名山著者の深田久弥氏のその一節、雪に輝く会津駒ヶ岳の見事な景色には、多くの山々の景色の中でも最大の感動を得たという言葉。

日の落ちた頃、調理場に備えられたアルコールランプ5つに主人が火を灯しに来られた。道中の話や周辺の小動物の話、麓の村の伝統の歌舞伎が上演間近であること、小屋の運営についてなど語らう。終わりに「疲れた筋肉に」と低い気圧で膨れたプロテインバーを差し入れしてくださったのだった。「筋肉のように膨れた状態ですが」と。19時、珈琲を淹れてありがたく頂戴した。片付け、洗面、柔軟。外に出てみると怖いほどの大風、暗闇、星空、麓の村の明かりがかすかに見える。

20時に消灯、部屋のランプを主人が団扇で消しにこられた。真っ暗の部屋で再び柔軟、行程の記録を付ける。家族に絶景の写真を送って21時。強風に揺れる小屋、軋む煙突の金切り音が耳障りで眠れず、窓から手を出して紐状のもので引き絞って結んでおくと止んだ。


翌日。
5:30 ~ 7:30 借りた長靴で中門岳へ。再び見入る天空の草原、天馬のかけるような風、雲間から光の梯子がそそぎ降る。

もうお一人の宿泊者の方と池塘で行き合う。「晴れましたね」と互いの無事に笑み。別れた後は昨日の場所でレンズキャップを探したが見当たらず。小屋に戻って朝食、温めただし結びや汁物。柔軟、身支度。


9:00 駒の小屋出発。名残惜しいほどに美しい風景、天空の庭園。温かい陽射し、心地よい風。


11:20 滝沢登山口には水音が届いている。その先の車道を下ると清流が見え出した。流れに沿って降った先に国道。小さな村の中心部へ。


12:00 無事の下山。檜枝岐村(ひのえまたむら)・六地蔵。壁土が無いため、柱や釘を用いずに建てられたという井籠(せいろう)造りの板倉群。火災から大切な穀物等を守るため、住居から離れた場所に建てられたという。


歌舞伎の舞台、鎮守神社への参道に祀られた「ばんばさま」、良縁を願って古くなった鋏を、悪縁の断とうと新しい鋏を奉納する。その頭に椀を被せればどんな願いも成就するとの謂れ。

歌舞伎の舞台、鎮守神社。檜枝岐歌舞伎は国の重要有形民俗文化財指定。江戸の時代に歌舞伎を観劇して帰った農民らが見よう見まねで伝えたことから、村の娯楽として270年もの伝承を経たという。2日後に上演があり、参道には多くの幟旗が並んでいた。


14:35 バスで沼山峠に到着。


15:20 尾瀬到着。

累計32km 17時間