日本一周 [ 68日目 ]
今まで見てきた風景の総てが、ほんの半世紀前、焼き払われるか否かの剣ヶ峰に立った
今まで見てきた風景の総てが、ほんの半世紀前、焼き払われるか否かの剣ヶ峰に立った
こんな設備で出来るものだろうか。
今も絶えず動いている。この記録を書く前も、書いている最中も、読み返すときも。
立ち止まって静かに視線を上げている人は皆そうだろう。反対に、地元の人々や橋の手すりに集まる雀は慣れたもの
目の前に一〇万年があった。製作期間一〇万年、未だ未完。
ということで山口県美祢市の秋吉台に到着。
しかし、あの時あの場所から、こちらを眺めた時のことをよく覚えている。
風まで持ち帰れたらと思わずにいられない。いずれまた来よう。
川の上流はないのに、来た道の方ではもう川の水音
釣瓶の残る井戸端に紫陽花、ポンプ式の水場も複数。木枠の格子が面構えの古い家々。蔦が張り、打ち捨てられた家も
「参拝者帳簿」が開いたまま置いてある。月日、氏名、市区町村、備考。北海道から東京、地元の人など様々な土地から、それぞれの理由で参拝した人たちの名があった。日本一周、縦断、徒歩…。
野うさぎ、二匹目、たぬきのようなもの、そして四つ足でうごめく何か
一人息子を戦争に取られて、あの松林で亡くしたということです。それで一目その地を見に
一ヶ月間に使用した「薬の包装袋や空ボトル」などを集めて入れたというガラスケースが展示されていた。とてつもない量に目を疑う。
ふと祠の横の、森に続く道があったような気がして、もう一度階段を上っていき、薄暗い脇道を進んでみた。鬱蒼と茂った木々の間に、確かに土肌の道が
一〇〇mほどもある施設の端から端まで、書棚と、その中に本がずらりと並んでいる。
長崎港と市街地全土の素晴らしい夜景。本当に素晴らしい夜景
このような壮絶な冒険があったと知る度、自分の旅の穏やかさを思う。
大気の霞に溶け込む伊万里湾、そこに浮かぶ島々。爽やかな早苗の黄緑と空や海の水色が調和している。音もなく静か
一二時半、九州に突入。一人拍手。
「砂暦」、世界最大の砂時計
やはり正面から詣でるべきだったな。壮観だ。
ふと横を見るとらくだが歩いてきた。観光客を乗せて砂地に小さく円を描いて戻る。そんなことはどうでもいい。この砂の量。圧倒的な量
全くの静寂、陰性の音が耳に痛いほど。暗い山の展望所に降り立つ。眼下に、とてつもない絶景が広がっていた。何だこれは。
地元の人々の暮らしぶりが目に入る。古い町並みの中で、自転車で駆け回ったり、梅の実を集めたりして遊んでいる子ども。洒落た花屋の仕入れの風景、街行く買い物客。
金属と石の擦れる嫌な音が一鳴り、すぐにブレーキをかけてエンジンを切った。やってしまったな。
外の景色を見に、窓を開ける。耳を疑うような静けさだった。鳥の声と、遠くで流れる川の水音
獣の喚き声や落石と思われる騒々しい音が、ひと気のない暗い山に響く
かつて日本という国には、旅人の黄金時代があった。
なんて爽やかなのだろうか。窓から風と陽射しを取り込むと、あまりの心地良さに頬が緩んだ。